エリザベス女王が「アナス ホリビリス(Annus Horribilis、ラテン語で恐ろしくひどい年の意)」と1年を表現したのは即位40周年に当たる1992年のことだった。昨年は、この言葉を何度思い起こしたことだろうか。
日本にとっては67年前の終戦以来の国難に見舞われた昨年、JBpressでどんな記事がよく読まれたか、1月から12月まで各月のページビュー第1位の記事を振り返りながら、2012年の世界、そして日本を展望してみたい。
2011年は正月から財政破綻への危惧を扱った記事が月間ページビューの第1位となって始まった。そして3月の東日本大震災・原発事故以降、特に目だったのは新聞・テレビ報道への不信感の高まりだ。
以下ご紹介する3月、6月、9月の記事は、いずれもマスメディアの意識や姿勢への批判を論じている。
10月にはオリンパス問題を扱った英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の記事が月間第1位になった。この不正事件で明るみに出た同社経営陣の隠蔽体質は、原子力発電所事故後の東京電力に通じるものがある。大企業に巣食う保身主義の根深さには愕然とさせられた。
一方、救いになったのは地方の中堅企業の話題。製造業とサービス業で注目される企業の事例を取材した記事が5月と11月にトップになったが、これら企業の工夫と努力の成果には本当に勇気づけられる。
JBpressでは今後も新しい経営手法や考え方に取り組む元気な企業の話題を取り上げていきたいと考えている。
日本の財政危機問題から始まった2011年
1月:「2011年、戦後最大の経済危機が訪れる 3月危機を乗り切れるかが第1関門、次は6月」
失われた20年の間に8倍にもなった国債発行額増大の背景、国債暴落による金融破綻のリスクなどについて論考・提言。財政悪化への読者の懸念を反映し、ヒット記事となった。
2月:「わずか数時間で日本は中国に占領されるぞ 守りに強い陸自を削るとは、新防衛大綱の大失態」
陸、海、空の戦力の特徴を解説し、2010年12月に決定した新防衛大綱で陸上自衛隊の戦力を削減したことへの異論を提示。同年9月に起きた尖閣問題以来の国防への関心の高まりから注目された。