メタボ健診と一般に言われる特定健診・特定保健指導が2008年4月に始まって以来、空前の健康ブームなのだという。

 最近では健康的な食のためのレシピ本が人気になっているが、中でも医学博士の石原結實氏の著書『石原結實のダイエット食堂31日』は、自身が運営する健康道場、ヒポクラティック・サナトリウムのメニューを公開している点が注目されている。

 ジュース断食で知られる健康道場や著書副題の「体を温めて代謝をよくする特選レシピ」の背景となった考え方、西洋医学との共存などについて石原氏に聞いた。(聞き手は川嶋諭JBpress編集長)

30年前、スイスの病院での食事療法との出合いが原点

石原 結實(いしはら・ゆうみ)医学博士、イシハラクリニック院長。長崎大学医学部卒業、血液内科を専攻、同大学院博士課程修了。スイスのB・ベンナー病院や長寿で知られるコーカサス地方で自然療法を研究。東洋医学を取り入れた独自の食事療法、運動療法治療を行っている。

川嶋 先生が健康道場のヒポクラティック・サナトリウムを始められたのはいつ頃ですか。

石原 昭和60(1985)年10月ですから、今年で27年目ですね。

川嶋 どういうきっかけがあったのでしょうか。

石原 1979年にスイスのベンナー病院というところに勉強に行ったのですが、ここは1897年に設立された病院で、全世界から集まってくる難病の患者を食事療法だけで治療するんです。

 ヨーロッパのど真ん中にありながら、肉や卵、牛乳、バター、マヨネーズは一切出ず、動物性の食事はヨーグルトだけ。あとは黒パン、じゃがいも、生野菜、ハチミツ、岩塩などで、朝必ず飲ませるのが、にんじん・りんごのジュースでした。

 それでものの見事にがんなど難病だと思っているものが良くなっていました。ビックリしましてね。私もぜひ将来、そういう病院をつくろうと思ったのがきっかけです。

川嶋 健康道場ではどのように断食をするのですか。

石原 標準コースは1週間で、基本は朝昼晩に3杯ずつにんじん・りんごジュースだけを飲んでもらいます。そのほかに黒砂糖入りのしょうが紅茶があり、これは部屋においてあるので好きなだけ飲んでかまいません。

 断食が終わった後は補食というのをやります。急に食べると具合が悪くなるのでね。1日2食で、1日目は重湯とみそ汁と大根おろしくらい。2日目は、重湯がお粥に変わり、納豆が加わります。それから帰られる時には、玄米食と普通のおかずを食べる。