法政大学とアイエヌジー生命は、社員のモチベーションを高める中小企業の施策や、その具体的な取り組み事例について、2008年より共同で調査研究を行ってきた。
調査研究の結果は、2009年に書籍の『なぜこの会社はモチベーションが高いのか』(坂本光司著、商業界)、および『中堅・中小企業の社員の勤労意欲を高める方策等に関する調査研究』という冊子にまとめられた。
実際に高い成果を挙げている企業を訪れて行ったこの調査研究は、実践的であると同時に普遍性が高く、古びることのない内容である。そこでJBpressでは、法政大学およびアイエヌジー生命の協力を得て、冊子に収められた事例を順次転載していく(*)。
第1回は 鹿児島県鹿児島市で総合広告代理業、出版業、印刷業を営む「映広グループ」である。

 1976年2月に鹿児島市交通局とバス停留所標識燈の停留所名下部に掲載する広告代理店として設立されたのが映広グループの発祥である。

 設立以来、地域のニーズに応え、かつ独創的な広告媒体を開発することで、交通広告、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの主要媒体を取り扱うことができている。交通機関を利用した広告業界のパイオニア企業である。また、出版および印刷会社を設立し、総合力を生かした情報発信企業へ成長している。

 2002年9月に有川達也氏がグループ各社の代表取締役に就任し、組織の効率化を図るとともに、鹿児島経済を支える1つの柱である観光事業への貢献に着手し、無料観光パンフレットおよび雑誌も創刊している。

 2009年現在、グループ全体の従業員数約100名、平均年齢34歳となっており、グループの総合力および組織力をより強固なものにしていくため、各グループ会社の全社員が、別会社・別部門という他人意識を持つことがないよう、縦だけでなく横にもしっかり繋がりのある組織作りが行われている。

 経験ある中途採用が多い業界の中で、新卒採用を4年前から開始し、新たな風土作りを行うとともに、社員教育にも注力している。

4社から成る映広グループ

 「地域社会の発展に寄与し、産業立国の要となる」ことを理念として、広告の代理店として設立された会社である。グループ会社は鹿児島映広を母体に、南日本出版、南日本共同印刷、KEオフィスサービスの4社から成る。各社は次のような使命を掲げている。

・鹿児島映広 
「信頼を礎に、街に映える広告を創ります」・・・交通広告、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌などの主要媒体を取り扱う広告代理業務を行う一方で、市場調査や企画立案の段階から参画し、顧客のニーズに沿った広告出稿、販売企画、各種イベントの提案や実行などのコンサルタント業務の展開を図ります。将来的にはマーケティングを軸にしたクリエイティブなソリューション企業へと生まれ変わります。

・南日本出版(求人誌やシティ情報誌、観光客向けフリーペーパーなどを発行)
「情熱と共に、新しい情報を発信します」・・・何よりも地元の読者に有益な情報を発信し続けることが大切です。