21日のロンドン市場でユーロドルは乱高下した。市場の焦点はECBの3年物資金供給オペに向かい、供給額が大きくなるとの期待からユーロ買い/ドル売りが先行した。オペが実施されると、供給額が4892億ユーロと過去最大規模になったことを市場は好感、ユーロドルは1.3199近辺と約1週間ぶりの水準まで上値を伸ばした。2009年に実施した1年物オペの4500億ユーロを上回っている。ただ、買いが一巡すると急速に上げ幅を縮小し、一時1.3074近辺と下落に転じた。「噂で買って事実で売る」結果となった。その後、下げ渋っているものの1.30台後半でのもみ合いとなっている。応札に参加したのは523金融機関で、重債務国の銀行が多かったとの指摘がある。
豪ドルやポンドも同様の値動きをしたが、本日の安値は付けなかった。ドル円はややドル買戻しとなり、77.60台から77.80台に小幅反発している。
欧州債券市場でも金利は上下に振れ、イタリア10年物国債利回りは6.45%まで下げた後は6.89%まで上昇するという荒れた展開となった。供給オペの後は、低下すると見られていた利回りが上昇している。
◆英中銀MPC議事録
12月7-8日に開催された英中銀MPC議事録が公表された。政策金利の0.5%と資産買い入れ枠2750億ポンドの据え置きは9対0の全会一致だった。また、一部の委員は、見通しが悪化しているため、いずれ追加量的緩和が正当化される可能性があるとしていることも明らかになった。ただし、市場の焦点はECBのオペに向かっていたことと、予想通りともあって反応は乏しかった。
◆R&Iは日本債を格下げ
格付投資情報センター(R&I)は、日本の発行体格付けを「AAA」から「AA+」に一段階引き下げ、見通しは安定的とした。消費税増税が実現しても政府債務残高の増大は避けられないとし、残高の対GDP比率を安定化させていくめどが立たないとした。ただ、11月末に格下げ方向のレーティング・モニターに指定していたこともあって、市場の目立った反応は見られなかった。
Klugアナリスト 鈴木信秀