2日のロンドン市場は、豪ドルやユーロ主導でドル売りが広がった。豪ドル/ドルは1.02台前半から後半へと水準を上げている。豪ドル円も79円台半ばから80円台乗せへ。イタリア債利回りが低下して7%台割れになるなど欧州債への売り圧力が緩和したことが安心感をもたらしている。欧州株は軒並み上昇して始まった。ユーロドルも1.34台後半から1.35台乗せへとじり高の動き。ユーロ円は104円台後半から105円台前半に上昇する動き。その後、ECBがIMF経由の融資を提案と報じられると、ユーロドル1.35台前半、ユーロ円105円台半ばへと一段とユーロ買いが強まる場面もあった。欧州株は取引序盤に上昇した勢いが次第に落ち着いており、米雇用統計を控えて高値水準での揉み合いが続いている。ドル円は77円台後半で78円近辺へと水準を上げている。

メルケル独首相が議会で演説、EUの経済統合を強化する必要を訴えている。EUには拘束力のある財政ルールが必要、としている。来週のEU首脳会議では、欧州の経済・財政統合が議題になると述べていた。また、ユーロ圏共同債は現時点では憲法上不可能、完全な財政統合なしには不可能、とこれまでどおり否定的な意見だった。来週のECB理事会では市場に利下げ見通しが広がっているが、OECD事務次官がECBについて言及。欧州の信用不安に対してEFSFの機能拡大では限界、ECBに最後の貸し手としての機能強化が欧州の信用不安打開の鍵、との見方を示していた。メルケル独首相も、ECBの責務はFRBや英中銀とは異なる、としており、今後ECBの役割についての議論も活発になりそうだ。

◆カナダ雇用統計、予想外の悪化 カナダ買いを消す
11月のカナダ雇用統計が予想外の悪化となったことで、カナダドルが急落した。ドルカナダは1.0080近辺から1.0130レベルへと反発、77.35レベルまで上昇していたカナダ円は77円割れへと反落している。発表前に進んだカナダ買いを消す形となった。11月のカナダ雇用者数は18.6千人減と市場予想の20千人増から下振れた。前回10月に続く悪化となった。また、11月の失業率も7.3%から7.4%へと悪化している。雇用者数の内訳は、フルタイム雇用が34.6千人増加したのに対して、パートタイム雇用が53.3千人減だった。製造関連は25.2千人増、サービス関連は43.9千人減だった。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)