3月16日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)は、FFレート誘導目標を0~0.25%に据え置くとともに、声明文に記載されている「時間軸」表現、「より長い期間(for an extended period)」を維持する決定を下した。筆者を含む市場が予想していた通りの結果である。

 票決は9対1で、カンザスシティー連銀ホーニグ総裁が「時間軸」表現に対して、今回も反対票を投じた。同総裁の反対理由は前回1月会合よりも具体的になっており、「金融の不均衡累積につながり、長期的なマクロ経済および金融安定に対するリスクを増大させる可能性がある」というものである。タカ派的な主張は広がりを見せていない。また、MBSなどの買い入れを予定通り3月末までに終了することや、TALFの終了期限についても、これまでの決定内容が再確認された。

 今回のFOMC声明文について主要部分を前回と比較すると、以下のようになる。

【景気全体の認識】~上方修正。労働市場は「安定化しつつある」と表現

(前回1月27日声明文)
◇「12月FOMC以降に入手された情報は、経済活動が強まり続けていること、および労働市場の悪化が弱まりつつあることを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in December suggests that economic activity has continued to strengthen and that the deterioration in the labor market is abating.)」

(今回3月16日声明文)
◆「1月FOMC以降に入手された情報は、経済活動が強まり続けていること、および労働市場が安定化しつつあることを示唆している(Information received since the Federal Open Market Committee met in January suggests that economic activity has continued to strengthen and that the labor market is stabilizing.)」

【金融環境の認識】~変更なし

(前回1月27日声明文)
◇「銀行貸し出しが収縮を続けている一方で、金融市場の状況は引き続き経済成長を支援するものになっている(While bank lending continues to contract, financial market conditions remain supportive of economic growth.)」

(今回3月16日声明文)
◆(同上)

【物価の認識】~変更なし

(前回1月27日声明文)
◇「かなりの経済資源の需給の緩み(スラック)がコスト上昇圧力を抑制し続けていること、および長期的なインフレ期待が安定していることからみて、インフレ率はしばらくの間沈静した状態が続く可能性が高い(With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time.)」

(今回3月16日声明文)
◆(同上)(※厳密には、withという単語の2つめが今回は削除された)