17日のロンドン市場は、ユーロの上値が重い展開となっている。この日はスペインとフランスの国債入札が注目された。結果発表を控えて序盤からスペイン債やフランス債が売られた。ドイツとフランスの10年債利回りスプレッドが初の2%へと拡大するなど欧州債務懸念が広がっている。スペイン債入札は不調に終わった。発行額は35.6億ユーロと、目標上限40億ユーロに届かなかった。平均利回りも6.975%と前回の5.433%から大きく上昇、応札倍率は1.54倍と前回1.76倍から低下した。フランス債入札も利回りが上昇する結果だった。序盤から売られていた欧州株は英FT指数、独DAX指数が2%超の下落となっている。ユーロドルは一時1.3430台まで売られて東京市場での上昇分を消している。ユーロ円も103.50割れまで軟化する場面があった。しかし、売買が交錯して下げ幅はいずれも50ポイント程度に留まっている。ユーロ相場は大きく崩れてはいない。中東筋の買い観測もあるようだが、市場にはやや売り疲れ感もあるようだ。

ただ、欧州の状況は依然として厳しいままだ。ショイブレ独財務相は、債務危機拡大が実体経済に影響を及ぼしている兆候がみられる、と指摘。メルケル独首相は、危機はまだ終わっていない、新たな局面に突入した、政治家はECBが債務問題を解決できると誤解した、などと述べて一段の警戒感を示している。 また、モンティ伊首相は、イタリアは債務削減可能と市場を確信させねばならぬ、と決意を表明したが欧州株や商品市況は崩れており、市場の評価は手厳しかった。ECBはイタリア債やスペイン債を購入しているもようだが、水準を維持する程度の動きに留まっている。

◆英小売売上高は予想上回る、ポンド買いは一時的
10月の英小売売上高は前月比+0.6%(予想-0.2%)、前年比+0.9%(予想-0.1%)と予想を大幅に上回る伸びだった。発表直後にポンドドルは1.5790レベル、ポンド円は121.50レベルまで買われた。ただ、すぐに売りも出ており、売買が交錯している。今週はキング英中銀総裁発言、英中銀インフレ報告などでインフレや成長見通しが引き下げられており、欧州債務危機の影響の深刻さが強調されている。一経済指標だけでは、ポンドのムードは好転しなかった。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)