米グーグルは米国時間3月5日、米マイクロソフトの「オフィス(Office)」向けツールとサービスを提供している新興企業、米ドックバースを買収したと発表した。同社の技術を、ウェブベースの統合オフィスソフト「Googleドキュメント」に導入し、マイクロソフトのユーザーを取り込みたい考えだ。
ドックバースが提供しているのは、マイクロソフトオフィス向けのプラグインソフト。これを組み込むと、ワープロ「ワード(Word)」、表計算「エクセル(Excel)」、プレゼンテーション「パワーポイント(PowerPoint)」の各アプリケーションの右横に専用の画面が現れる。ユーザーはこの機能を使ってほかのユーザーとファイルを共有したり同時編集したりできるようになる。
ドックバースは2007年にマイクロソフトの元社員によって設立された。グーグルやミニブログサービスの米ツイッターなどに投資を行った企業から出資を受けている。今回の買収金額については明らかにしていないが、グーグルはドックバースに2500万ドルを支払ったと米ウォールストリート・ジャーナルが報じている。
ドックバースも同日声明を発表しており、まずはグーグルとドックバースの技術を統合し、グーグルのサービスとマイクロソフトオフィスの橋渡しをすると述べている。
新たなアプローチでマイクロソフトを攻撃
グーグルはこれまで、各サービス間の連携を強化したり、ファイルの保存容量を格安で提供したりと、マイクロソフトのソフトにはない面を追求してきた。しかし今回は、マイクロソフトの技術と直接連携するサービスの買収だ。これまでとアプローチが少し違うのだが、そのあたりをグーグルの製品マネジャーがウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えて次のように述べている。
「マイクロソフトのソフトで作成されたファイルをグーグルのオンラインストレージにアップロードしてもらい、そこで編集したり共有したりできるようにする」
やはりデスクトップからオンラインソフトへの移行を狙っていることが分かる。ドックバースのサービスは、ユーザーがファイルを保存すると、全く同じファイルがネット上に作成される。各ユーザーがデスクトップで編集するごとにその変更点を抽出して、オンライン版と同期させるというものだ。変更履歴をアーカイブとしてネット上に保存するため、ユーザーは様々なファイルのバージョンに混乱しないで済むという。