「我々のグーグルTV事業は失敗に終わった。今後は新モデルの開発は行わない」――。パソコン周辺機器大手のスイス、ロジテック・インターナショナルが投資家向け説明会でこのような発表を行ったことが欧米のメディアに大きく取り上げられ、話題になっている。
米ウォールストリート・ジャーナルは「グーグルTVの有力なパートナー企業が去ったことで、また新たなネガティブ要因ができた」などと報じている。
端末価格を3分の1に値下げ
「グーグルTV(Google TV)」はテレビ用のソフトウエアプラットフォーム。テレビの視聴体験とウェブの利便性を融合することを目指し米グーグルが開発した。
ソニーが対応テレビやブルーレイディスクプレーヤーを発売したほか、ロジテックも「レビュー(Revue)」と呼ぶ専用の家庭用端末(STB:セットトップボックス)を開発し、昨年10月に発売した。
ロジテックの製品は、本体をテレビに接続し、キーボード型の無線コントローラーでテレビに映った画面を操作するというもの。家庭の大画面テレビでウェブサイト上のビデオやテレビ番組を視聴でき、映画のオンデマンドサービスも楽しめるというのがうたい文句で、当初大きな話題となった。
しかしふたを開けてみれば、売れ行きは芳しくなく、専門家からも完成度が低いなどと厳しい評価を受けた。
ロジテックは当初レビュー(Revue)を299.99ドルで販売していたが、その後、249ドルへと値下げし、今年7月には99ドルにまでに下げた。この価格改定が奏功してか、同社はこの年末までにすべての在庫を売り切ると見込んでおり、在庫がなくなり次第、サポート業務を除き、当面同事業を閉鎖する計画だ。
1億ドルの営業赤字に
投資家・アナリスト向け資料(PDF)によると、同社はこの事業で1億ドル以上の営業赤字を出したもよう。ロジテックという会社は、米マイクロソフトや米アップルのように四半期売上高が百数十億ドル、あるいは数百億ドルあるわけではなく、今年7~9月期の売上高を見ても、5億8900万ドルという規模。1億ドルの赤字は同社にとって大きな痛手となったようだ。