刺激的な見出しをつけてマスコミが経済政策論議を報じても、債券相場がほとんど反応しない状況が続いている。

 税制に関する要人発言は、消費税率引き上げ・所得税率引き上げ・法人税率引き下げと、基幹3税についてメニューが出揃った状態。また、日銀の金融政策を巡っては、菅直人副総理・財務・経済財政相の発言が日銀に+1%をやや上回る水準でのインフレ目標導入をやんわりと促したものと一般に受け止められており、亀井静香金融・郵政担当相は日銀による国債引き受けにまで言及したが、市場の反応は皆無に近かった。

【税制改正に関する最近の閣僚発言】

◆菅副総理・財務・経済財政相

「(2010年度予算案が)2月中に衆院を通過すれば、本格的に政府税制調査会に動いてもらう。消費税や環境税についても本格的な議論を3月から始める」
「中期財政フレームを考えるにしても、このままの税制でいいのか」
(2月14日フジテレビで)

「(所得税の)累進性が非常に緩和され、お金持ちにとっては減税という税制になっている」
「たくさん収入のある方には少し多めに税を払っていただき、子育て中の人たちには子ども手当で応援に回していく。そういう税制について本格的な議論を始めたい」
(2月20日町田市で街頭演説)

◆古川元久内閣府副大臣

「(法人税率は)できるだけ、下げられるのであれば下げる方向を目指していきたい」
「日本の法人税率は高いという指摘がある」
「日本の成長を考えるときには現在ある企業はもっと強くなり、起業家にとっても好ましい税制に変えないといけない」
(2月26日ブルームバーグで講演)

【金融政策に関する最近の閣僚発言】

◆菅副総理・財務・経済財政相

「政府としても(デフレ脱却に向けて)努力を一層していきたいと思っているので、日銀においても、やり方についてはそれぞれ独立した判断があるのは当然だが、より努力をお願いしたいというのが率直な気持ちだ」
「(目標とするインフレ率は)プラス1%、ないしもう少し高めの目標でいってもいいのではないかという認識を持っている」
「欲を言えば、(昨年11月に)デフレ宣言をして、今年いっぱいくらいには何とかプラスに移行してもらいたいと感じている」
(3月1日衆院財務金融委員会)

「法律(日本銀行法)を変えて、そうした行動(日銀の国債引き受け)を取るのは、少なくとも私自身、念頭にはない」
(3月2日衆院財務金融委員会)