10日のNY市場、ロンドン市場の流れを引き継いで、ユーロや資源国通貨は買戻しが先行したものの、伸び悩む場面も見られた。イタリア債が買い戻されるなど落ち着きを取り戻しており、朝方発表になった米新規失業保険申請件数が予想を下回ったこともフォローとなり、底堅い展開ではあった。
しかし、依然として懸念は根強い中、S&Pが一部顧客に対して、フランスの格下げを示唆する誤ったメッセージを送り、それが市場に憶測を呼んだ。S&PはAAA格付けと安定的見通し維持を発表し、憶測を明確に否定。システム上のエラーとし、このような事態を引き起こした原因を調査中としている。仏政府も調査を開始した模様。一連の動きにユーロは上下動している。
S&Pの説明に市場も一旦納得した形だが、イタリアの次はフランスまで行くとの意識は強く、S&Pの説明に懐疑的な見方も多い。
また、イタリア債の戻りについては、ECBによる大量購入の観測も出ていた。この動きに市場は、ECBがきょう、明日にも緊急会合を開催し、債券購入プログラムを無制限に実施できるよう変更するのではとの憶測も出ている。しかし、独連銀は緊急会合の開催を否定。
ユーロドルは1.36を挟んで上下50ポイント程度振幅。資源国通貨は上下動しながらも買い戻しが優勢となった。
一方、ドル円は再度77.50のポイントを攻める動きが見られたが、直ぐに跳ね返されている。政府・日銀による覆面介入の憶測もある中、下値を攻め切れない状況が続いているようだ。
(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)