アドテック東京2011リポートの4回目は、10月27日に行われた2つのキーノートプレゼンテーションを紹介する。
自社サイトへの囲い込みから、フェイスブック活用へシフト
最初のプレゼンテーションは「One Brand, Two Countries~ソーシャルメディアマーケティング革命~」と題して、アディダスの日本と米国のブランドマーケティング担当者が実例を挙げながらソーシャルメディア活用の戦略を語った。
最初に登壇したアディダスUSのデジタルマーケティング担当のクリス・マーフィー氏は、過去の失敗事例から話を始めた。
アディダスUSは2006年に人気バスケットボール選手を起用したインターネット上のキャンペーンを実施した。狙いは「ブランドと消費者との間に感情的なつながりを作ること」。大掛かりな仕掛けで2日がかりで撮影した動画は話題を呼び、多くの人をサイトに誘導した。ユーザーが写真投稿したり、友人を招待できる仕組みを作ったことで、サイトは大いに盛り上がったそうだ。
ところが、キャンペーン終了後にサイトを削除すると、消費者との関係も途絶えてしまった。マーフィー氏は「我々は、ソーシャルということを理解していなかった。せっかくアディダスについて語りたい、アディダスが気に入っているという人たちとの関係ができたのに、それを継続させることができなかった」と振り返る。
その後、アディダスは自社サイトへの囲い込みから、ソーシャルメディアの活用へと舵を切り、現在ではフェイスブックに力点を置いて消費者との関係を構築するようになったそうだ。
マーフィー氏は最近の成功例として、フェィスブックのアクティブユーザー100人に、アディダスが提供している大学フットボールチームのグローブを予告なしにサプライズプレゼントしたことを紹介。プレゼントをもらった人は「アディダスにこれもらっちゃった!」「やった! 嬉しい!」とフェイスブックに書き込み、どんどん口コミで話題が広がった。「意外性や驚きが受けて、効果が大きくなった。他の製品でもやってみたいと思う」と述べた。