アドテック東京2011、2日目の10月27日は8つのテーマで合計24のセッションが行われた。ここでは、「モバイルマーケティング」をテーマとした3つのセッションについてリポートする。

 最初のセッション、「モバイルマーケティングが変わった~日本発『先進事例と展望』~」では、宣伝会議編集室長の田中里沙氏がモデレーターを務め、グーグル モバイル広告営業部統括部長の香村竜一郎氏、mediba ADプラットフォーム企画部長の野口龍彦氏、PARTY クリエイティブディレクターの清水幹太氏の3人が意見を交わした。

スマホの登場で従来のマーケティング手法は通用しなくなる

左から、宣伝会議 田中里沙氏、PARTY 清水幹太氏、mediba 野口龍彦氏、グーグル 香村竜一郎氏 (写真提供:dmg::events Japan、以下同様)

 はじめにmedibaの野口氏が日本のモバイル市場の概況を説明した。モバイル端末は3~4年後には6000万台にまで増加し、特にスマートフォンの拡大が予想される。スマホではユーザーのニーズが日々変わるため、過去のデータを蓄積し分析するという従来のターゲティング手法は通用しにくくなるとし、「よりリアルタイムにユーザーを捉えていく必要性がある」と指摘した。

 PARTYの清水氏は、クリエイティブ側からの視点を提示。スマホの普及により、モバイルデバイスは人の目や耳、鼻、口などのような「器官」になりつつあるとの独自の見解を示した。日常生活でスマホを肌身離さず持つ状況が生まれ、「生活シーンがすべてメディアになるという変化が起こっている」と指摘、モバイルは「道具から、持ち主の意思を拡張する器官」へと変わりつつあるとの見方を示した。

 そうした変化は、広告にとって大きな可能性を秘めているという。具体例として、清水氏は自身が手がけたトヨタ自動車のモバイルアプリケーション「ToyToyota」を紹介した。車の運転席の父親と後部座席の子どもがコミュニケーションできる、子ども向けのアプリ。子どもは遊びながら父親と一緒に運転を楽しめる。「昔ならばすごくニッチなシチュエーション」だったが、「そういうところにコンテンツを投下できるようになった」と同氏。

 一方で清水氏は、モバイル広告の可能性を手放しでは喜べないとも指摘した。モバイル広告市場は「金脈だらけ」ではあるが、「誠実にアプローチしていかないと、しっぺ返しを食らってしまう。非常に危険が潜んでいる」と警鐘を鳴らす。