先日、政府関係者と情報交換をしていたところ、事業仕分けの話になりました。久しぶりに行われる事業仕分けで原子力行政を取り上げることになったのは野田佳彦総理の指示だとのこと。

 野田総理ご本人は原発についてはあまり確たる思いはないようですが、何か改革したいという思いは強いのだそうです。しかし、大臣の人事は「派閥均衡理論」という自民党の時代と同じ発想で組閣されているので、ジレンマに陥っているのだとか。

 もともと事業仕分けは、単に補助金などの予算を削減するのが目的ではなく、政府と地方自治体のどちらが行うのが適切かを判断するというのが、より重要な仕事だったはず。

 エネルギー関連の事業は、どちらかというと政府の仕事であることが大部分と思います。事業仕分けで取り上げる対象として優先すべきものかどうかは疑問が残ります。

一括交付金をやめてほしい自治体の本音とは

 これまでも記事に書いた通り、残念ながら野田政権は地方分権には全く力が入っていません。これは地域主権戦略会議のメンバーを見ただけでも分かります。地方への権限や財源の移譲を断固として主張する人が少ないのです。しかも、ここから橋下徹大阪府知事が抜けました。

 しかし、地方分権への動きが停滞しているのは、政府だけでなく、自治体の側にも問題があるようです。

 その典型例を、「一括交付金」を巡る政府と自治体のやり取りに見ることができます。

 一括交付金は、省庁ごとにたくさんある従来の補助金をひとまとめにして、自治体が自由に使えるようするものです。あの懐かしい2009年衆議院選挙のマニフェストでは、「国のひもつき補助金は廃止し、地方の自主財源にします」と謳われた、特に重要な政策として掲げられていました。

 結局、政府は10月19日、この一括交付金の対象を政令市だけにする方針を固めました。

 この決定に至るまでにはいろいろな議論があったのですが、先日、小規模な地方自治体の団体の代表者が、この一括交付金について政府首脳に陳情に来た時に、「地方自立はまだまだ先だな」と思う出来事がありました。

 新聞報道などでは、小規模な自治体への補助金が減る可能性があるので一括交付金に反対したと報じられています。しかし、政府関係者によると、自治体の代表者の本音は別のところにあったようです。