27日の東京市場は、EU首脳会議が終了してユーロ買いが広がった。昨日の海外市場ではギリシャ債務減免に関して独仏首脳と銀行団との対立がユーロ売りを誘う場面があった。EU首脳会議では、ヘアカット率50%で合意したと表明され、市場には安堵感が広がった。ユーロドルは1.38台後半から1.39近辺での神経質な揉み合いを上放れて上昇、前日高値を上回って一時1.4000レベルまで高値を伸ばした。その他主要通貨にもドル安が波及し、ドル円は一時76円割れ、ドルカナダも1.0000のパリティ割れとなった。豪ドル/ドルもユーロドル上昇に伴って1.05台乗せへと買われた。イベントを無事に終了したことを好感して、株式市場が堅調に推移している。リスク許容度が上昇して豪ドル円は80円に接近、カナダ円は76円台に乗せている。

その他の合意内容は、ほぼ事前の報道通りで、EFSFに関してはレバレッジ4-5倍で1兆ユーロ規模に拡大、EFSF最大化への2選択肢で11月末までに枠組み設定へ、柔軟性持つと確信、原則的に中国は新たなEFSFに参加可能、とされた。また、イタリアには年金支給年齢引き上げなどの方策に実施を確約させている。ギリシャ第2次支援については、数週間の事務作業が必要で、年内にはまとまる、としている。

◆日銀決定会合、追加緩和は基金の5兆円増額
日銀は金融政策決定会合で基金を5兆円増額する追加緩和策を決定した。追加緩和は8対1での決定で、宮尾委員が基金10兆円増額を提案したが、反対多数で否決された。政策金利はこれまでどおり据え置き。ドル円は発表直後に76.25レベルへと上昇したが、すぐに75.90レベルまで押し戻される動き。クロス円もユーロ円が一時106.50レベルの高値をつけたあと、106.10近辺まで反落。神経質な動きとなっている。市場ではETF増額などや、金融緩和とパッケージでの為替介入期待もあったようだ。介入の動きはまだみられていない。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)