17日のNY市場は、米株が大幅安となり、ドル高が一段と進行した。ロンドン市場で報じられた独財務相の発言が尾を引いた形だった。ショイブレ独財務相は、今週末のEU首脳会談では早急な債務危機の解決には至らないとの見通しを示している。さらに米経済指標が追い討ちをかけた。10月のニューヨーク連銀製造業景気指数は-8.48と市場予想-4.00を下回り、ほぼ前回9月並の低水準に留まった。欧州株が軟調に推移していたことでNY株式市場も売りが強まった。序盤からほぼ一本調子で売られ続け、取引中盤にはダウ平均など主要株価指数が2%超の大幅安となり、引け際にも一段安となっている。

ドルはロンドン市場からの上昇が一段と進んだ。ユーロドルは1.38割れから1.37台前半へと下落。NYタイムに特に動きが強まったのが資源国通貨で、豪ドル/ドルは1.01台後半へと下落、ドルカナダは1.02台乗せへと上昇した。一方、ドル円はNY市場序盤に急落している。77円台を割り込むと一気に76.60レベルまで下落、その後の戻りも76.80レベルまでに留まっている。この動きにクロス円も下押しされており、ユーロ円は105円台半ば、豪ドル円78円台前半、カナダ円75円手前水準へと下落し、安値水準のまま揉み合っている。

◆欧州発、リスク回避ムードが再燃
前週末にはリスク回避が後退するムードで引けたが、週明け相場は再び欧州や米国発のリスク回避ムードが広がった。ポルトガル財務相は、2012年の同国経済成長の予測をマイナス2.8%へと下方修正したほか、シュタルクECB専務理事は、ユーロ圏共通債は各国財政再建へのインセンティブを弱める、ECBへのこれ以上の方策の要請は中銀の領域を踏み越え、独立性にとって問題がある、と指摘している。フィヨン仏首相が、どのような仏銀も破綻させない、ギリシャを破綻させない、と述べているが市場の反応は冷ややかだった。ショイブレ独財務相の発言が市場に影を落としていた。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)