普天間問題が典型であるように、日本の外交・防衛=安全保障政策は広い分野に影響を及ぼす。日本の経済的成功は我が国が自由資本主義陣営にあり、米国との強い連携関係により安全保障上の問題が極めて小さいことを前提としていた。
その前提に海外からは疑義が向けられているという事実、つまり日本の投資カントリーリスクが議論される状態にあるという現実に対してしっかりと目を開き、安全保障問題を考えなくてはなるまい。
日本企業の勘違い、増資はつなぎ資金調達?
(2)は「なぜ日本でだけダイリューションが問題になるのか」という問いに対する根本的な答えになりそうだ。
結論から言うと、日本の企業は「エクイティーストーリー」がないと批判されているのだ。つまり増資とは資金の出し手にとっては投資であり、投資家に対して魅力のある話を示さなければならない。
ところが、ある起債担当者は「日本の企業はつなぎ資金を市場で調達できると勘違いしている」と酷評して憚らない。「不特定多数の投資家からカネを集める時に、まるで銀行に後ろ向きの追加融資を依頼するような企画書を出してくる」というのだ。
日本企業、増資でつなぎ資金を調達?(参考写真)〔AFPBB News〕
詳しく聞いてみた。すると、「資金の需給関係から、目先に必要な分だけカネを市場で集められると思っている企業が多すぎる。本当にカネが必要なら、新規の設備投資など現状維持プラスアルファのストーリーを組み立てた上でそれに応じた金額を集める努力をすべきだ」
こうした起債のプロは、現在のような市場環境下では多少「風呂敷」を広げてでも企業が前向きさで投資の魅力を訴えることが重要だと指摘する。それは、米国企業なら当然駆使するテクニックなのだという。

