日本では鳩山新政権が外交、経済問題で大きく揺らいでいると報じられた頃、2009年12月9日に太陽の表面には7カ月ぶりに黒点が本格的に出現した。太陽は長期にわたる異例の活動低迷期に別れを告げ、約11年周期とされる新たな活動周期に入った。

 日本の経済や金融界にとっては、2010年こそ飛躍の始まりになってほしいと願う。そのためには今夏の参議院選挙をにらみながら、我々自身が政策選択する際に判断すべき争点や軸を整理しておく必要がありそうだ。

鳩山首相、「普天間移設はオバマ大統領来日前に結論出さない」

「ブレ」は政権だけの問題か?(参考写真)〔AFPBB News

 鳩山政権は政策の「ブレ」に対して批判を浴びている。しかし経済政策を考えた場合、目先の利益につられてブレているのは我々自身であり、それを伝えるマスコミだと思うケースも目立つ。逆にそれにつられて、政治がブレている側面もあるのではないか。

 国民の価値観は多様化している。野党となった自民党がその存在価値をはっきりと示すことに苦渋しているのは、国民が理解できるような対立軸を設定しにくいからかもしれない。

 その一方で政権交代後に目立つ議論の多くは、本来であれば所与の前提条件であるにもかかわらず、「革命的政権」であればそれを覆せるかのような幻想が振りまかれ、まるで選択肢が存在するように争点を設定してしまうケースである。

 2009年の終盤はこうした「本来は選択肢ではないもの」まで、国民に選択の余地があるかのように報じられた。その結果、経済政策をめぐる議論は混乱を極めた上に壁にぶち当たり、いたずらに閉塞感を増幅させてしまった。

鳩山政権の経済政策、所与の条件とは?

 現政権の発足以来の動きを見ると、経済政策においては案外普通の、言い換えれば概ね自民党政権時代の枠内で対応するように見られる。つまり、以下のような前提を守りながら、これからも議論が進められていくと考えるべきだろう。

 (1)少子高齢化の進行

 この問題を根本的に変えることができる唯一の選択肢は移民政策の積極的な運用であるが、それは実現しない。「子ども手当」などの子育て支援は行われても、人口構成における大きな歪みを是正するには至らない。

「モラトリアム法」成立後は・・・

 (2)民主主義下での自由な経済活動の継続

 「亀井モラトリアム法案」が出てきたときにはハッとさせられたが、その後の展開を見る限り、独裁的で管理経済を完遂できるような強権発動はなさそうである。

 (3)グローバリゼーションの継続

 基本的な鉱物資源が不足する我が国では、鎖国的あるいは一国主義的な対応は急速な縮小均衡を意味する。国際社会に対して思い切った「二流国」宣言をするような鎖国的対応を現政権は取らない。

 それは、環境問題で世界をリードしていこうとする姿勢のほか、安易な為替介入を行わないなどの方針で確認できた。グローバリゼーションが進展する中で、少なくとも世界トップクラスの1人当たりGDPを維持していこうとする基本思想は変わらないと考えられる。