先日発表になったミシュランガイド東京版で、三ツ星レストランの数がパリのそれを上回ったことは、こちらのメディアでも話題になった。そもそも、レストランの総数がパリの数倍であることなど、様々な理由を挙げながらも、最終的には、東京が世界的な食のキャピタルであると結んでいるものが多い。
本場を超えることしばしば、東京のレストラン
今や、東京では一流の日本料理だけでなく世界中の料理を享受できるし、それはしばしば本場に勝るとも劣らないクオリティーであることは間違いない。
フレンチでは日本食の米にあたるパンも例外ではない。流行に敏感な方なら、銀座の一等地にお目見えした店の盛況ぶりをご存じかもしれない。
昨年春の赤坂店からスタートして、新宿、渋谷。それに続く4店舗目がこの秋にオープンした。
店の名は「ドミニク・サブロン」。パリの名だたる有名レストランにパンを提供してきた、ドミニクさん自身のフルネームを冠したものである。
「当初は3カ月だけの予定だったのが、評判が良いので、常設になるという知らせが昨日届きました」
パリの店で会った日の朝、ドミニクさんはほやほやのニュースを教えてくれた。この銀座の店を含めて、東京の彼の店で作られているのは、正真正銘のフランスパン。パリと同じ方法、同じ材料で作られたパンは、これまで日本で出回っていたパンとは一味もふた味も違うはず。それがこの評判につながっているらしい。
では、なにが違うのか?
素材へのこだわりが独特の風味と味を生む
まず、パン作りで最も大切な小麦粉がまず違うのである。例えば「ブール・ビオ」。これは、フランスでは「パン・ド・カンパーニュ」、つまり「田舎パン」と呼ばれるカテゴリーのもので、表面はしっかりと焼き色がついたかなり歯ごたえのある食感のパン。
「ドミニク・サブロン」の看板商品「ブール・ビオ」は、厳選したフランス産の有機栽培の小麦と自家製の天然酵母を使ったもので、材料と製法は、日本でも全く一緒だそうだ。
そして、フランスパンの代名詞とも言えるバゲット。これにはちょっとしたポリシーがある。というのも、出来上がりはパリの店とほぼ同じなのだが、日本では、日本の小麦粉を原料にしている。
それも、一般的に日本のパン作りに使われていた小麦粉ではなく、北海道産の小麦をドミニクさんが吟味して、さらに挽き方まで彼が監修して新たに開発したものを使って作る。