民主党になってから3人目の首相になった。自民党政権の末期に選挙を経ることなく首相がコロコロと代わることを非難していた民主党だったが、自らが政権に就くと、同じことを繰り返している。もはや首相がコロコロ代わることは、政党に依らない日本型政治システムと考えた方がよい。

 首相が代わったら政策も変わるのだろうか。自民党では誰が首相になっても政策はほとんど変わらなかった。しかし、民主党では変化が激しい。

 ここでは、福島第一原発の事故以来注目を集めているエネルギー政策について考えてみたい。

自民党は「京都議定書の遵守」を掲げながら原発を推進しなかった

 まず、自民党のエネルギー政策について振り返っておこう。バブルが崩壊して以降、ここ20年ほどの自民党のエネルギー政策には全くキレがなかった。整合性のない政策が惰性的に続いていただけである。

 エネルギー政策は経済と深い関わりがある。経済が成長するとエネルギー消費量が増加するためだ。そのことは、昨今の中国やインドを見ればよく分かる。

 それに、地球温暖化対策という新たな課題が加わった。化石燃料の消費によって発生するCO2が地球温暖化の原因物質とされるためである。エネルギー政策は環境問題にも配慮しなければならない時代になっている。

 ただ、地球温暖化対策は国によって温度差がある。1997年に採択された京都議定書は温室効果ガス排出に関する取り決めだが、日本とEUはその枠組みの中にいる。一方、大量のCO2を排出している米国、中国、インドはその枠組みに入っていない。世界の全ての国が温暖化対策に真剣に取り組んでいるわけではない。

 そんな中で、自民党政権は京都議定書の遵守を目標に掲げていた。ただ、そのエネルギー政策は、京都議定書の遵守とは相容れないものだった。