来年10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約の国際会議(COP10)が認知度低迷に苦慮している。2008年秋以来の不況に泣く地元は愛知万博をしのぐ経済効果に前のめりだが、国民の認知度は5%。192カ国・地域が参加する重要な国際会議にもかかわらず、正しく理解している人はほんのわずかだ。
10月12日午前、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場センチュリーホール前には午前零時30分の開場を待つ人々の長い列ができていた。その数、ざっと300人余り。会場整理のスタッフに聞くと、一番乗りは午前9時過ぎから並んでいるという。さすが無料で実がある「お値打ち」イベントに敏感な反応を示す質実剛健の名古屋である。これからこのホールで「COP10」の開幕1年前イベントが始まる。
COP(Conference of the Parties)とは、国際条約の締約国が集まって開く会議のこと。10は10回目という意味で、正式には「生物多様性条約第10回締約国会議」という。
この条約は1992年にリオデジャネイロで開かれた国連環境開発会議で誕生した。目標は生物の多様性の保全、生物多様性の構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正で公平な配分――という3つ。現在は日本を含めた192の国と地域が加盟。京都議定書以来、環境関連の会議に不参加の米国を除くほとんどの国が参加している。
2年に1度、会議(COP)を開き、締約国がそれぞれの取り組みの成果や新たな課題について話し合っているが、節目にあたる10回目の会合が来年10月、この名古屋で開かれるのだ。