鳩山由紀夫首相率いる新政権の発足を、隣の韓国は概ね好感している。
小泉純一郎元首相が自民党総裁選で靖国神社への参拝を公約に掲げた上で、在任期間中、毎年、参拝を続けたことは「日本はわれわれの嫌がることを、敢えて行っている」(同国政府当局者)と映った。
これに対して、鳩山首相は、総選挙前の8月の段階から「首相に就任しても靖国神社を参拝するつもりはない」と明言。アジア外交を重視する方針を再三、語ってきたことも韓国側は好意的に評価し、「新政権は歴史問題の解決に前向き」(韓国主要紙記者)と受け止めているのだ。
10月9日に鳩山首相が初訪韓した際に、李明博大統領との首脳会談で靖国問題は話題に上らなかったとされている。それにもかかわらず、その数日後、自他共に「知日派」と認める元韓国政府高官が、「靖国神社の話は、韓国で特に注目されている」と筆者に語った。首脳会談で話題にならなかった靖国問題を敢えて強調したのは、筆者にとって逆に注目すべきことだった。
率直な言動が「得点」に
しばしば「危うい」とみられる首相の率直な物言いだが、「分かりやすい態度を好む」傾向が強い韓国に対しては「得点」になっている。
韓流ファンを自認するファーストレディ・幸氏の貢献度も小さくない。「冬のソナタ」で人気となった韓流スターのヨン様(ペ・ヨンジュンさん)が、出版関連イベントのために来日した9月30日、幸氏は会場の東京ドームを非公式に訪ねて、「憧れのスター」との対面を果たした。
日本の一部では「軽佻浮薄」と顰蹙を買った行動も、韓国側からすれば「首相夫人が、わざわざ会いに来てくれた」(ソウルの20代OL)という肯定的な反応になる。失礼ながら、幸氏は、8月26日付の当コラム「転機迎えた『下からの日韓新時代』」で指摘した「韓流オバサン」の象徴的なケースだ。
幸氏は、9月20日に東京で開かれた「日韓交流おまつり」では「母は90歳で、韓国ドラマにすっかりのめり込んでいる」と挨拶し、首相訪韓に随行した際は、李大統領夫人の金潤玉さんとともに、仲良くキムチ作りに取り組んだ。