16日に始動した鳩山由紀夫新内閣。官僚依存から政治主導への移行という、国の政策決定プロセスにおける抜本的な変化がどこまで進むのかは、政権発足後まだ数日という段階では、未知数のままである。また、経済情勢については、経済の体質が輸出依存であるがゆえに結局のところは米国経済の回復度合い(構造不況からの脱出の成否)次第ということになるわけで、日本の政権が交代したからといって明るい方向で突如大きな変化が出てくるようなことは、もとより期待すべくもない。

 ここでは、鳩山新内閣の閣僚の言動で、エコノミストとしての視点から筆者が評価できると考えているものを2つ、取り上げておきたい。

 1つめは、前原誠司国土交通相が17日の就任会見で、八ッ場ダムに続いて川辺川ダムについてもマニフェストに従って建設中止を明言した際に発した一言である。報道によると、前原氏は会見の冒頭で、次のように基本姿勢を述べた(9月18日付 朝日新聞)。

 「税金の配分を大きく変えていかなくてはいけない。少子長寿化、莫大な財政赤字、人口減少の現在において、どこに優先的に税金を使うべきかで考えれば、公共事業の新規投資は減らさざるを得ない」

 この考え方は、筆者の持論と合致している。

 人口減少・少子高齢化が着実に進行していくという、現時点で最も可能性の高い日本の「未来図」を前提にした場合、ダムや道路を含む公共インフラ整備については、かなりの程度、メリハリをつけていく必要がある。財政バランスが極度に悪く、将来世代へのつけ回しが将来の経済成長を圧迫する度合いが増しているだけに、なおさらであろう。

 輸出依存の不安定な経済構造、慢性的なデフレ状況、財政収支改善見通しの厳しさ。諸悪の根源は、人口減・少子高齢化を主因とする国内需要の継続的な「地盤沈下」にある。これをできるだけ食い止めようとする努力が欠かせないわけで、前原氏が所管することになる観光行政は、経済政策としての観点からも、その重要性を一層増している(需要の源としての観光政策展開の必要性にも前原氏は言及していた)。

 問題意識さえしっかりしていれば、必要な政策を体系的に打ち出していくことができるはずである。いわゆる現業官庁からの予算要求が、日本の社会経済構造の大きな変化を踏まえずに、「惰性」(ないしは場合によっては特定の利害や利権)に基づいてなされているケースがもしあるならば、予算査定でドライに削減していく姿勢が、財務省には望まれてくる。