5日の東京市場は、緩やかにドルが売られる展開だった。ドル円は79円台前半から78円台半ばへと軟化している。ただ、午後に入ってからドル円が一時79.40レベルまで急伸するなど神経質な面もあった。市場筋からは介入との観測も流れたが、財務省筋はコメントを差し控えている。ドル円が急伸する直前には、野田財務相が、為替介入は一方的な円高の動き、特に無秩序な動きへのけん制、と述べており介入期待が広がったことも背景にあったようだ。ユーロドルは1.40台後半から1.41台乗せ、ポンドドルは1.62台前半から後半へとジリ高の動き。前日海外市場で進んだドル買いに調整が入る程度の値動きだった。スイス中銀のヒルデブランド総裁は、下半期にスイス経済がかなり弱くなる見通し、一段のスイスフラン上昇は受け入れられない、必要なら一段の措置講じる用意、と述べ、利下げを実施してもなかなかスイス高に歯止めがかからないことに不快感を表明していた。

比較的穏やかな為替市場だったが、株式など金融市場全般にはリスク回避ムードが広がっている。前日のNYダウが500ドル超の大幅安となったことを受けて、日経平均も一時400円近い下げとなった。アジア株でも香港株、上海株などが軒並み大幅安となり、それぞれ年初来安値を付けた。NY原油先物は85ドル台半ばへと水準を下げている。米雇用統計の発表を控えて、一段の米景気悪化を警戒するムードもあったもよう。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)