26日のロンドン市場は、東京市場に引き続きドル安の流れとなった。豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨の堅調さが目立っている。NZドル/ドルは0.8740レベルへと高値を伸ばし、変動相場制導入来の最高値を記録した。豪ドル/ドルも1.0950台へと上昇、東京朝方からの上げ幅は約130ポイントに及んだ。対円でも堅調で、NZドル円は68.25レベルと東京午前の高値を抜いた。豪ドル円も85.60近辺と高値圏へと上昇している。東京タイムに報じられたオバマ大統領の演説では、議会側に譲歩を迫る強い口調のものだったが、議会側も同様で、まだお互いの歩み寄りの姿勢は弱いとの印象。引き続き債務上限引き上げへの交渉は難航しており、米デフォルトへの不安感は払拭されていない。ドル売りの相手先としてはファンダメンタルズが比較的良好で利上げへ思惑もあるオセアニア両通貨に人気が集まっているようだ。特に、豪ドルにとってはあす27日の第2四半期消費者物価指数が鍵となっている。一方、ユーロはやや上値が限定されている。この日実施されたスペインとイタリアの短期証券入札はいずれも平均利回りが上昇、応札倍率が低下とあまり芳しくない内容だった。欧州株は神経質に上下動、序盤1%高と堅調だったイタリア株も上げ幅を縮小している。ユーロドルは1.45台に乗せる場面もあったが、1.44台後半で落ち着いている。ユーロ円も113円近辺での揉み合い。また、ドル円は東京市場での乱高下をよそに、ロンドン市場では78円近辺での膠着状態となっている。一部に、日本の単独介入を示唆する報道もあったが、反応薄だった。ドルスイスは序盤に0.80割れと史上最安値を記録したあとは、下落が一服している。

◆ポンドは英GDP発表後に急伸
ポンドは第2四半期の英GDP速報値の発表の後に買いが強まった。結果は前期比+0.2%、前年比+0.7%とほぼ事前の予想通りだったが、前日から英経済についての弱気な報道が相次いだことから市場ではより弱いGDPの結果を織り込む動きもあったようだ。ポンドドルは1.63台前半から1.64台乗せ、ポンド円は127.50近辺から128円台乗せまで上昇した。ユーロポンドも0.88台後半から前半へと下落。その後もポンド高水準で高止まりとなっている。英政府からはGDPの結果を歓迎するコメントが報じられている。オズボーン英首相は、英GDPデータは前向きなニュース、経済は持続的に成長し、雇用が創出されている、と述べた。また、ケーブル英民間企業相は、最新のGDPの結果は目覚しいものではないが驚くべきものでもない、政府は財政赤字削減計画を堅持する、英経済はより均衡した持続的成長の基盤を固めている、英経済は回復してきており正しい方向に復帰している、と述べている。昨日は追加緩和策のシナリオも示唆したケーブル民間企業相だったが、きょうはこれまでのプランに変化は無い、とGDPの結果にひと安心していた。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)