31日に総務省から発表された9月の全国消費者物価指数で、生鮮食品を除く総合(CPIコア)は、前年同月比+2.3%になった。弊社予想通りの数字で、前月から0.1ポイントの鈍化。7・8月に記録した同+2.4%がピークになった可能性が高く、「原油・穀物バブル」の崩壊を主因に、CPIコアの前年同月比プラス幅は、今後着実に縮小を続けていくものと予想される。景気悪化や為替の円高に伴うデフレ圧力も見逃せない。2009年度後半には、CPIコア前年同月比がマイナスに沈む月が出てくるだろう。
品目別に見ると、「生鮮食品を除く食料」などがコア前年同月比を押し上げる方向に、「ガソリン」「灯油」「家賃」などが押し下げる方向に、それぞれ寄与した。
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆる欧米型CPIコア)は、前年同月比+0.2%で、小幅プラスに戻った。しかし、季節調整済指数は99.3(前月比+0.1%)。エネルギーや食品を除いた物価のベースライン部分が低水準で非常に安定している状況に変わりはない。
今年春から夏にかけて市場の一部で盛り上がったインフレ説が「虚構」であったことが確認された。
一方、10月の東京都区部消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合(CPIコア)が前年同月比+1.5%となり、前月からプラス幅を0.2ポイント縮小した。ガソリンの急激な値下がりの影響を考慮すると、都区部CPIコア前年同月比については、9月に記録した+1.7%がピークになった可能性が高い。
品目別に見ると、「生鮮食品を除く食料」「都市ガス代」などがコア前年同月比の押し上げに、「ガソリン」「被服及び履物」「灯油」「高速道路国道料金」などが押し下げに、それぞれ寄与した。
また、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合(いわゆる欧米型CPIコア)は前年同月比+0.4%で、前月から0.1ポイント鈍化した。季節調整済指数は99.8(前月比▲0.1%)である。
以上を含む都区部CPIの結果をもとに試算すると、「生鮮食品を除く食料」「都市ガス代」などが押し上げ方向に、「ガソリン」「灯油」「家賃」「電気代」「高速道路国道料金」などが押し下げ方向に、それぞれ寄与する結果、全国CPIの次回10月分で、コア前年同月比は+2%を一気に割り込み、+1.9%になるものと予想される。
日銀が口にしてきた「物価の上振れリスク」は、すでに消えている。今回のCPIの結果は、政府が30日に決定した追加経済対策「生活対策」とともに、日銀が31日会合で0.25%利下げを決定する上での「ダメ押し」的な位置付けになる。