12日のロンドン市場は、欧州ソブリンリスクが高まりユーロが急激に売られた。イタリアなど重債務国債券が売られ、欧州株も銀行株を中心に大幅安となった。イタリア10年債の利回りは1997年来初の6%台に乗せた。11日に実施された欧州首脳会談やEU財務相会合でギリシャ支援などへの目新しい対策が打ち出されなかったことにマーケットが失望した格好。ユーロは東京市場で軟調に推移していたが、ロンドン早朝から一段と売り圧力が強まり、ユーロドル1.38台前半、ユーロ円109円台半ばまで急落した。ユーロドルは4ヶ月ぶりの安値水準。また、円買いの動きも広がり、ドル円は80円を割り込んむとストップ注文を誘発、一気に79.18レベルまで下落して協調介入後の安値をつけた。この動きに連動して豪ドル円は一時83.50割れ、カナダ円は81.00近辺まで下落している。さらに、逃避通貨として買われ易いスイスフランも堅調。ユーロスイスは一時1.1550レベルと史上最安値を記録した。ただ、売り一巡後の戻りも速く、ドル円79.80近辺、ユーロ円111.40近辺、ユーロドル1.3960近辺まで買い戻される動きとなったが、東京午後の水準までは戻しきれていない。
欧州高官らのネガティブな発言も多かった。デヤーヘル・オランダ財務相は、ギリシャの選択的デフォルトもはや排除せず、と述べた。フィヨン仏首相は、ギリシャのデフォルトは新たな金融危機をもたらす恐れ、と述べた。サルガド・スペイン財務相は、EU首脳のギリシャ新規支援に関する意思決定の遅さが市場の混乱を巻き起こした、と述べた。加えて、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)はアイルランド銀債にクレジットイベント発生、との報道もユーロ売り材料として取り沙汰されていた。注目のイタリアは367日物証券を67.5億ユーロ発行した。平均利回りは3.67%(前回6月2.147%)応札倍率は1.55倍(前回6月1.71倍)だった。調達コストが一段と上昇した点が財政再建へのマイナス材料となりそうだ。ただ、イタリア野党は財政緊縮策の上院での14日までの可決と、下院での17日までの可決を呼びかけたことがややパニックを落ち着かせた面もあったようだ。
◆英インフレは予想を下回る、ポンド売りに
ポンドにとってはきょうの英消費者物価指数が注目材料だった。6月の英消費者物価指数は前月比マイナス0.1%(予想プラス0.2%)と予想外の低下となった。前年比の伸びも4.2%(予想4.5%)、コア前年比2.8%(予想3.3%)に留まった。ロンドン序盤からユーロにつれて売られていたポンドに、再び売り圧力が加わった。ポンドドルは1.58台後半から1.5780レベルへと下落して本日の安値を更新した。ポンド円は126円台前半から125.50割れ水準まで反落した。ユーロ買い・ポンド売りも進んで、ユーロポンドは0.88台乗せへと買い戻された。この日発表された6月の英小売物価指数や5月の英DCLG住宅価格も前回を下回る結果だった。英インフレの緩和は利上げ期待の芽を摘み取るものとして、ポンド売りの圧力になりやすいようだ。
(Klugシニアアナリスト 松木秀明)