中国の航空母艦がいよいよ公式に登場する見通しが強くなった。旧ソ連のウクライナから買った空母「ワリヤーグ」である。

 長い期間、大連港で改修に改修を重ね、その作業がついに終わり、この夏にも中国海軍の主要艦艇として配備に就くことが確実だというのだ。そういう趣旨の情報が各方面から流れ出した。米軍当局もその展望を明確にしている。

 この中国初の航空母艦の登場は、日本や米国の安全保障にとって何を意味するのだろうか。控えめに見ても、排水量6万7000トン、全長305メートルという巨大な中国空母の配備は、長年西太平洋で制海権を握ってきた米国海軍への正面からの挑戦として映る。

 中国側はこのワリヤーグを「施琅」と名づけた。清朝時代に台湾を制圧した水軍の将の名前である。この命名自体、台湾の安全保障に責任を持つ姿勢を取る米国との対決姿勢を思わせる。

 同時に、その米軍の抑止力に国家の安全を委ねてきた日本に対しても、中国初の空母の登場は深刻な影響を及ぼすことが予測される。

米国防大学教授が「中国には空母をどんどん建造し、配備してほしい」

 だが面白いことに、この中国空母の動きに細心の注意を払う米国の専門家たちの間には意外な楽観論が存在する。

 米軍の太平洋統合軍のロバート・ウィラード司令官は「中国空母の軍事的なインパクトには懸念は感じていない」と述べた。純粋な軍事面だけから見れば、中国空母は恐れるに足りない、という宣言だと言えよう。

 もっと大胆な反応は、米国防大学のバーナード・コール教授の「中国はぜひとも航空母艦を多数、建造してほしい」という言明だった。中国海軍研究の権威であるコール教授は、最近発表した論文でこんなアピールをして注視をあびた。ワシントンで今、熱を高める中国軍事研究の論議の一端である。