かねて噂されていた通り、ソーシャルゲーム大手の米ジンガが新規株式公開(IPO)を申請した。7月1日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類によるとIPOの規模は10億ドル。ただしこれは手数料算定を目的とした暫定的な額で、関係筋によると同社の時価総額は200億ドルと見られており、最終的にジンガは20億ドルを調達する可能性がある。

 ジンガの設立は2007年。主にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)米フェイスブックのサービス内でゲームを提供している企業だ。申請書類で明らかになった同社の年間売上高は、2008年で1940万ドル、2009年には1億2100万ドルとなり、2010年は5億9700万ドルと急拡大した。

既に黒字転換、有望視されるIPO

 また2009年には5300万ドルの赤字だったが、2010年には9100万ドルの黒字に転換しており、米ウォールストリート・ジャーナルは、ここ最近IPOを実施したり、申請したりしている企業の中では珍しいと伝えている。

 例えば、この6月にIPOを申請したクーポン共同購入サイトの米グルーポンは最終損益が赤字続き。また5月に新規上場したビジネス向けSNSの米リンクトインは、赤字こそ出していないものの、利益が売上高に比べて少なすぎると指摘されている。

 ジンガの場合、証券会社のアナリストらも「驚くべき成長率」と評価するほど好調な業績で推移しており、同社のIPOは有望視されている。

 しかし同社には大きなリスク要因があると指摘されており、同社もそれを認めている。例えば、今年1~3月期の同社の売上高のうち94%がゲーム内でユーザーが購入する仮想アイテムの収益によってもたらされている。

 そしてこの仮想アイテムは、現在のところごく少数のユーザーのみが購入しているという状況になっている。こうした有料ユーザーは絶えずサービスから離れていくため、同社はゲームの機能やサービスなどを刷新し、常に新規ユーザーを獲得しなければならない。