リーマン・ショック以降の異常な経済状態からの脱却が、景気回復期待を膨らませて株式相場を押し上げてきた。しかし2009年6月以降、日経平均株価は1万円前後で膠着状態となり、上昇力に陰りが見える。目先の株価は一旦水準訂正が始まるか、株価水準に盛り込まれている「プレミアム」部分の調整に入る可能性が高い(記事中の表・グラフも筆者作成)。
各国の代表的な株価指数の月間変化率をまとめてみた。新興国はモルガン・スタンレー新興国指数を使用した(▲はマイナス)。各指数とも月を追うごとに勢いがなくなり、日本を除くと6月の指数は下落となった。
09年 | 米国 | 英国 | ドイツ | 新興国 | 日本 |
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4月 | 7.4% | 8.1% | 16.8% | 16.3% | 8.9% |
5月 | 4.1% | 4.1% | 3.6% | 16.7% | 7.9% |
6月 | ▲0.6% | ▲3.8% | ▲2.7% | ▲1.5% | 4.6% |
日本の5月の鉱工業生産指数速報でも、気掛かりの点がある。予測調査で一般機械工業の7月見通しが▲6.6%、電子部品・デバイス工業が▲1.5%と悪化しており、回復シナリオに黄信号が点灯したと言えなくもない。
上のグラフは、鉱工業生産の資本財出荷指数を視覚化したものだ。資本財への需要は依然弱く、「期待先行」だけで更なる株価上昇を予測するのは難しい。
通貨防衛を優先、国内景気対策が後手に回ったロシア
2009年2月以降の株式相場は、異常な経済状態からの脱却を材料にしてきた。新興国のうち、ロシアに焦点を合わせてこれを確認してみよう。