6月3日、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、平成22年度予算編成の基本的な考え方を発表しました。
医療については、「地域間、診療科間、病院・診療所間における医師の偏在を是正する必要がある」とされ、その解決策として「『経済的手法』と『規制的手法』の両方を行うべきだ」と提言されました。
経済的手法とは、医療費の配分調整を行うということです(前回のコラムを参照)。
私は、これについては本質的には配分調整だけでは不十分で、高齢化が進む以上は医療費が増えるという当たり前のことを前提に議論すべきだと思っています。
最終報告では経済的手法に加えて、「規制的手法を取り入れるべき」との文言が入れられました。意味合いを考えると、これはとても見過ごしてよいものではありません。
規制的手法とは、具体的には「医師の適正配置」ということです。
今回の提言では、こう解説されています
「偏在是正の手法としては、規制的手法を活用することも必要である。規制的手法の導入については、医師の職業選択の自由を制約するといった議論もある。
しかし、国民医療費のほとんどが公費負担(保険料又は税金)であり、税金の投入されている比重も主要諸外国と比較しても大きいことや、医師の養成には多額の税金が投入されていること等にかんがみれば、医師が地域や診療科を選ぶこと等について、完全に自由であることは必然ではない」(原文ママ)
分かりやすく言うと、「医師は税金の恩恵を受けているのだから、働く診療科や地域を自由に選択させる必要はない」ということです。
医師の適正配置が必要だという強引な根拠
医師の適正配置が必要だというこの根拠は、かなり強引だと言わざるを得ません。
6年間で5000万円以上の学費が必要となる医学部も確かに存在します。でも、それは一部の私立大学の話です。国公立大学に通う学生が税金から5000万円の養成費をもらっているわけではありません。