フランス・パリのローランギャロスで開催されていた「2009年全仏オープンテニス」が6月7日に閉幕しました。男子シングルスで初優勝を果たしたのはスイスのロジャー・フェデラーでした。
テニスをしたことがない方でも、テニス界のスーパースター、フェデラーの名前は聞いたことがあると思います。
フェデラーは4年連続で全仏オープンの決勝に駒を進めながら、過去3年間はクレーコート(土のコート)王者であるスペインのラファエル・ナダルの前に夢を砕かれ続けていました。
しかし、今年は全仏オープンの前哨戦であるマドリッドの大会で、クレーコートでありながらナダルに1セットも与えずに優勝。好調な状態で全仏オープンに乗り込んできました。
今大会では、全仏オープン5連覇中のナダルがスウェーデンのロビン・ソデルリングに敗れる波乱がありました。決勝の相手はそのソデルリングです。
パワーアップしたサービス、以前よりも粘り強さを増したストローク、時折見せるドロップショット等、多彩なショットを織り交ぜた攻撃的なオールラウンドプレーは、ナダルを破ったソデルリングをまったく寄せ付けないものでした。
まさに史上最高のプレーヤー
これでフェデラーは、1999年に米国のアンドレ・アガシが成し遂げて以来となる史上6人目の生涯グランドスラム(4大大会全制覇)を達成。4大大会の優勝回数も14に伸ばし、米国のピート・サンプラスの最多記録に並びました。
そして何より評価されるべきなのは、グランドスラム大会での準決勝進出が20大会連続という記録です。一時は10大会連続決勝進出という記録も作りました。
オーストラリアンオープンとUSオープンのハードコート、全仏オープンのクレーコート、ウインブルドンの芝のコートという異なるサーフェスにおいてコンスタントに成績を残すことは、並大抵のことではありません。まさにオールラウンドプレーヤーの証明でもあります。
4大大会最多優勝記録を持つサンプラスは全仏オープンのクレーコートが大の苦手であり、序盤戦で敗退することは珍しくありませんでした。アンドレ・アガシも同様です。
それに対してフェデラーは、昨年6月から全仏オープン準優勝、ウインブルドン準優勝、USオープン優勝、オーストラリアンオープン準優勝と、4大会連続でグランドスラム決勝進出を果たしています。
それにもかかわらず、以前ほど優勝していないというだけで「フェデラー時代の終焉」と言われてしまうのです。まさにフェデラーは史上最高のプレーヤーと言っても過言ではありません。
初めて見た15歳のフェデラー
私が初めてフェデラーを見たのは1996年の8月でした。彼はまだ15歳。スイスで開催されたサテライトサーキットに出場した時のことです。
当時、大学4年生だった私は日本アマチュアランキングで1位となり、大学卒業後にプロへの道を歩むか否か迷っていました。そこで腕試しとしてスイスの大会に出場し、その結果次第でプロ転向するかどうかを決めようと考えたのです。
スイスサテライトサーキットの初日、私が試合をしている隣のコートでプレーしていたのがフェデラーでした。