1日のロンドン市場は、スイス買いとポンド売りが目立った。材料は各国の製造業PMIなど経済指標の結果。スイス4月実質小売売上高は前年比+7.5%、前回-0.2%から改善した。さらに、5月SVME購買部協会景気指数は59.2と市場予想57.5および前回4月58.4を上回る結果だった。スイスフラン買いの動きが広がり、ドルスイスは0.85台前半から0.84台後半へと下落。取引中盤にかけては0.8440台と史上最安値を更新している。一方、ポンドにとってはPMIが売り材料だった。5月の英CIPS製造業PMIは52.1と市場予想54.1および前回4月54.6(修正後54.4)を大幅に下回った。1.65近辺へと堅調に推移していたポンドドルは一気に1.64割れまで急落した。4月の英住宅ローン承認件数も4.52万件と前回4.71万件、予想4.7万件を下回り、ポンド安を加速させた。対ドル以外のクロス取引でのスイス高とポンド安は顕著だった。両極端の組み合わせであるポンドスイスは1.4050近辺から1.3850近辺まで約200ポイントの大幅安となった。なお、ドル円は81円台前半での揉み合いが続いている。菅政権への内閣不信任案が提出される波乱の状況となっているが、円相場の反応は限定的。

◆ユーロは独紙報道で振幅する場面も
ユーロにとってはギリシャ救済を巡る報道が波乱材料だった。ロンドン序盤に独紙FAZが、現時点でIMFが6月末に予定されている対ギリシャ支援の第5トランシェを支払わない可能性高い、と報じたことでユーロ売りが強まった。ただ、同紙によると、新規プログラムへのIMFの参加が想定される、としており、ユーロは即座に買い戻された。ユーロドルは1.44台前半から一時1.44割れへと急落したが、その後は1.4448レベルとこの日の高値を付けている。ただ、1.44台半ばは重く、その後は1.44を挟んだ神経質な取引が続いている。EUはギリシャの借り換えで投資家向けインセンティブを検討、EU/IMFの調査団が今週中の調査完了を目指しており、ギリシャが5回目の支援を受けられるかどうかはEU財務当局者やユーロ圏財務相会合の協議次第となる見込み、などと報じられている。ギリシャ支援は綱渡りの状況となっているようだ。独欧の5月製造業PMI確報値がいずれも下方修正されたことも重石だった。

(Klugシニアアナリスト 松木秀明)