蓮齋(れんさい)が作ったキノコと蛙。キノコの傘、柄、蛙の丸みが、なんとも滑らか。非常に密な傘のひだも美しい。傘の表面にある2つの穴に紐を通す。根付は、大名同士が会うときの手土産としても使われたそう(写真提供:特記以外すべてAlain Ducros)
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パリ在住のアラン・デュクロ氏。手にした紐の上部に付いているのが根付。いかに小さいかがよく分かる。デュクロ氏のペンダントヘッドも根付だ。右手前に見えるのは、国際根付ソサエティから授与された「シルバーキリンのトロフィー」(筆者撮影)
左:眼文(がんぶん)の作。キノコと蟻。眼文はデュクロ氏のお気に入りの根付師の1人。右:是真(ぜしん)の作。絵画のようにしてカタツムリを彫ってある。「根付はお洒落を表現するアイテムとして使われていましたが、魔除けとしても考えられていたはずです」と語るデュクロ氏
卵の新鮮度をチェックするマレー人の根付
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舟月(しゅうげつ)の刻印。月の字が明らかに目となっているのは、わざと舟目(しゅうぼく)にしたと考えられる。根付師のこういったアイデアを発見できるのもデュクロ氏ならでは
根付のモチーフは、しばしば間違って解釈されているという。「これは当時流行した象皮病のために、性器が腫れ上がった男性を表しているはず」とデュクロ氏は指摘する。玉に彫られた多数の小さな穴は毛穴を表現し、北斎が描いた象皮病の男性(右側)もその裏付けといえる
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亮長(すけなが)作の梅の実。デュクロ氏によると、これは性器も表現していたという。根付はありとあらゆるデザインで作られて、各自が個性を表現するアイテムだった
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パリのオフィスは古書や古美術で埋め尽くされている。デュクロ氏は日独交流150周年の根付シンポジウム以外にも、2008年にモナコで開催された日本美術博覧会を統括するなど大きなイベントに意欲的に関わっていて、日本の古美術への愛情は尽きない(筆者撮影)