巨大なパイプオルガンをたった1人で操るプラド・関藤咲耶さん。このパイプオルガンは、1909年、プジェ(Puget)作。3段鍵盤でストップ(音色を選択する装置)は32個。パイプオルガンは紀元前以来の歴史があり、ピアノやリードオルガンといった鍵盤楽器の出発点となった(写真:特記以外は著者撮影、以下同)
ミサの演奏に熱が入るプラドさん。一旦はあきらめた夢を、長年かけて実現した
プラド・関藤咲耶さん。海外へ出て、自分のことをより客観視した。フランスでは「お仕事は何ですか」という質問が、挨拶のように交わされる。昔は違ったが、いまやワーキングマザーであることが当然のような傾向だ(写真提供:プラド・関藤咲耶)
参列者たちとプロの歌手(右端)とパイプオルガンと。ミサの雰囲気は、場に集った皆で一緒に作り出す
「下階から聞こえてくる参列者たちの歌声はもちろん、みんなが一斉に席を立ったり座ったりする音も大好きです」とプラドさん。式の進行を上階で1人で見守りながら、何曲も演奏する。毎回ミサに合わせて曲を選ぶ
教会の日常といえば、葬儀もその1つ。感情が高ぶりがちな親族は、この曲でなくてはダメと葬儀に合わない曲を要求したり、ときには、家族の問題で互いに言い争いを始めることも。でもプラドさんが演奏する葬儀が終わると、みな穏やかな表情を見せるそうだ
パイプオルガンは足鍵盤が特徴。プラドさんの軽やかな足さばきは、見事。足の微妙な動きをもらさず鍵盤に伝達するために、専用シューズは欠かせない