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札幌市南区真駒内曙町4丁目10番10号
日本人は昔から木の家を建ててきた。だから木の家の作り方は、世界の中で日本人が一番よく知っているはずだ──。と思っていたら、実はそれは大間違いだった。欧州の人たちの方がよっぽど木のことを知りつくしていたのである。
そのことに気づいたショックをきっかけに起業した人物がいる。飯田ウッドワークシステム(北海道・札幌市)の飯田信男社長だ。
欧州の木の窓に驚く
飯田氏は学生時代から一貫して木材の世界を歩いてきた。北海道大学で木材工学を学び、卒業後は北海道立林産試験場に就職した。試験場では木材の利用法、特に北海道産の木材を使ってどのような新しい窓ができるかを研究した。
飯田氏が試験場に就職したのは1970年代末。その頃、日本の窓は木製サッシからアルミサッシにどんどん置き換わっている最中だった。アルミサッシは木に比べて丈夫で長持ちする。軽いし、値段も安いというメリットがある。
だが林産試験場の上司は、日本でアルミサッシが普及することに批判的だった。ある時、上司が飯田氏に言った。
「北海道みたいな寒い所で、アルミサッシの窓なんていいはずがない。結露はするし、熱も逃げていく」。そして上司は、ヨーロッパではほとんどの窓が木でできていることを教えてくれた。「ヨーロッパの木の窓はとても機能的なんだ。君、ヨーロッパの窓を研究してみないか」
上司に触発された飯田氏は実際に欧州を訪れ、現地の研究所を見て回った。
飯田氏はそこで大きなカルチャーショックを受ける。北欧諸国やスイス、ドイツなどでは断熱試験や気密試験を行って、科学的に木の性能を最大限に引き出す研究を重ねていた。飯田氏は、日本の木の文化は世界最先端だと思っていたが、それは間違いだったのだ。
「ヨーロッパの木の窓は日本のずっと先を行っている。いつかこれを日本に持ってこよう」。飯田氏は心に誓った。その後、北海道庁の林務部林産課、住宅サッシメーカーの勤務を経て、2000年に飯田ウッドワークシステムを創業した。
木の断熱効果はアルミの1500倍以上
同社の主力製品は、家庭用の窓サッシや、大型カーテンウォールに用いる「i(アイ)・ウッド・スクリーン・システム」だ(カーテンウォールとは「屋根を支える構造材」とならない壁のこと。分かりやすく言えば「巨大なガラスの壁」である)。