何をするにも詰めが甘いトランプ政権の政策運営

 そもそもトランプ政権が確たる戦略を描き、その下でイラン空爆に踏み切ったかどうかはかなり疑わしい。イスラエルの口車に乗ったとの見方は、説明力が相応に高いのではないか。現にドナルド・トランプ大統領自身の発言が二転三転しており、政権がイランとの戦争で何を目指し、どこに目標を定めているのかが掴み難い。

 年明けのベネズエラへの干渉がトランプ政権の成功体験となり、イラン空爆に対する楽観を生み出した可能性も意識される。

 一方、トランプ政権が中東におけるイランの特殊な位置付けを正しく理解していなかったのではないかという疑念は尽きない。トランプ政権によるダメージコントロールが、あまりに稚拙なためだ。

 トランプ政権はイラン空爆に踏み切ることで、自らの疑惑から米国民の関心を逸らそうとしたという見方も説得力を持つ。トランプ関税に対する違憲判決のみならず、エプスタイン疑惑への関与といった強い逆風が、トランプ大統領には吹いている。とはいえ、イラン空爆に伴う原油価格の高騰でインフレが加速すれば、元も子もない。

 また、今回のイラン空爆は、ドンロー主義と称される孤立主義外交と真っ向から矛盾する。自身の岩盤支持者とされるMAGA層は諸外国への介入を好まない。いずれにせよ、トランプ政権の政策運営は何をするにしても詰めが甘い。戦略目標が甘いとも言えるし、戦略目標さえきちんと定めていないとも言える。それに世界が振り回される。