台湾を訪問したNVIDIAのジェンスン・フアンCEO(1月30日、写真:ロイター/アフロ)
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 トランプ米政権が、米半導体大手エヌビディア(NVIDIA)のAI半導体「H200」の対中輸出を条件付きで正式承認してから約1カ月が経過した。

 1月半ばには、販売価格の25%を米政府へ納付するという異例の「取引(ディール)」を具体化する安全保障規則が相次いで決まった。

 この1カ月の動きは、単なる輸出再開という枠組みを超え、米国による「技術の主導権維持」と、中国による「慎重な抵抗」という、極めて複雑な「管理された依存」のフェーズを鮮明にしている。

「25%の徴収金」と厳格なセキュリティー審査の実態

 先月13日に公表された新規則により、エヌビディアはH200を中国へ出荷する際、これまでにない厳格なプロセスを課せられることとなった。

 具体的には、まず米国内での十分な供給量を確保していることを証明した上で、出荷前に米国内の第三者機関(外部研究所)による性能テストを受け、その性能が規定のパラメーター内に収まっている(輸出制限のしきい値を越えていない)ことの確認を受ける必要がある。

 米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、配送プロセスも異例だ。

 各チップは製造地の台湾から一度米国へ戻され、そこで販売価格の25%を「関税」のように徴収された後、ようやく中国へと輸出されるのだという。

 筆者が考えるに、このデジタル時代において、何とも非効率なプロセスともいえるが、米国はそれほどまでに、この問題にセンシティブなのだろう。

 トランプ大統領は1月14日に改めて輸出承認を明言し、エヌビディア側も「雇用維持に資する『熟慮されたバランス』である」と歓迎の声明を出した。

 そして、米商務省産業安全保障局(BIS)が主導するこの枠組みには、軍事転用を防ぐための「エンドユーザーの本人確認」や、クラウド経由の不正なリモートアクセス防止策も盛り込まれた。

 さらに1月15日には、台湾とも2500億ドル(約40兆円)の対米投資と引き換えに対台関税を15%へ下げる包括的な貿易合意が署名され、トランプ流の「関税を武器にした供給網再編」が加速している。

 トランプ政権の狙いは明確である。

 最先端の「Blackwell(ブラックウェル)」や次世代の「Rubin(ルービン)」の流出は防ぎつつ、準先端品のH200を供給することで中国企業を米国主導の技術圏(エコシステム)につなぎ止めることにある。

 同時に、莫大な徴収金を米国内の産業振興の財源に充てるという実利主義的なアプローチであり、規定のパラメーターを順守しているかどうかの厳格な運用が求められる。