独自の「小規模・高効率」投資の是非

 競合する巨大テック企業との対比で際立つのが、設備投資の規模だ。

 グーグル、マイクロソフト、米メタ、米アマゾン・ドット・コムの4社が2025年に投じたAI関連投資は計3800億ドル(約59兆円)。

 一方、アップルの投資額は127億ドル(約2兆円)(2025年9月期)にとどまり、その規模は桁違いに小さい。

 アップルは、高価なGPU(画像処理半導体)を大量導入するクラウドベースの手法を避けている。自社製チップを用いたオンデバイス処理にこだわっているためだ。

 これはユーザーのプライバシー保護に加え、専用設計のハード上でAIを動かす「高効率処理優先」の独自戦略である。

 しかし、計算リソースが不可欠な最新のフロンティアモデルに対し、性能差をどう埋めるかが課題となっていた。

 この難問に対し、アップルは1月12日、最新の「Gemini 3」を含むグーグルの技術を自社基盤モデルに統合する数年間の提携に合意した。

 独自のオンデバイス処理と、グーグルの強力なクラウドAIを組み合わせることで、出遅れた知能レイヤーの底上げを急ぐ構えだ。

記録的ヒットの陰に潜む「26年の谷」

 2025年のiPhone出荷台数は、過去最高となる約2億4000万台に達したとの推計が示されている。中国市場の劇的な復調と、コロナ特需からの買い替え需要(スーパーサイクル)が重なったためだ。

 しかし、この「熱狂」が持続するかについては疑問符がつく。

 市場関係者は、2026年のスマートフォン市場が一転してマイナス成長に陥ると予測している。メモリー半導体の高騰や製品サイクルの変更が主因とされる。

 特に、2025年に投入された薄型モデル「iPhone Air」の苦戦は象徴的だ。販売不振を受け、当初2026年秋に計画されていた次期モデルの発売は延期される見通しとなった。

 こうした動向は、デザインの革新だけでは消費者を動かせない現状を露呈している。

 アップルにとって、2025年の好業績は「AIの遅れ」を覆い隠す格好の「ベール」となった。だが、そのベールが剥がれつつあるのが2026年の現実である。