高市首相が気にかける有権者層
重要なことに、機を見るに敏なこうした株主の多くは、高市早苗首相が明らかに気にかけている階層と重なっている公算が大きい。
すなわちインフレに見合う賃金上昇がなく、ポピュリストにますます引き寄せられている有権者の層だ。実質賃金は昨年1月から10月まですべての月で前年割れに終わっている。
これは特段意外なことではないはずだ。日本企業は何年にもわたって賃金を低く抑えてきた。インフレが起きていなかったため、それでも逃げおおせることができた。
日本経済は高度で規模も大きいにもかかわらず、労働力は安価なままだ。そのため、省力化ができて生産性も向上する技術への大規模な投資がなかなか行われなかった。
この戦略はもう何年も前から、ますます持続不可能になっているように見えた。これで何かが起こらなかったら、その方が不思議なほどだ。
一方、高市氏は物価上昇自体だけでなく、デフレのカゴから解き放たれた物価を抑制するのは容易でないという考えにも対処しようと奮闘している国のリーダーシップを引き継いだ。
内閣支持率は高い。余勢を駆って今年の春に衆議院の解散・総選挙に打って出るかもしれないとの観測が一部のアナリストから上がるほどだ。
だが、高市氏を取り巻く国内の政治環境は、30年ぶりの高率のインフレと、何も手を打たなければ選挙で有権者に懲らしめられる恐れがあることとに大きく左右される。