「直接会ってお詫びしたい」という誠意への疑問
芸能人でも一般人でも、トラブルの相手に「直接謝罪したい」という声をよく聞きます。ここまで見てきたように、誠意とは自分の満足ではなく、相手への思いやりだといえます。一方的に謝罪を押し付けることになる、丸坊主、土下座、高価な銘店の和菓子は自己満足です。
迷惑を受けた被害者側の人も、怒りをぶつけたいという人もいれば、もう顔も見るのも嫌だという心理の人も様々にいることでしょう。
成功する謝罪は、自己中心的な自己満足ではなく、確実に相手の心理に合致していることが必須です。だから「直接会ってお詫びをしたい」は、相手がそれを望んでいる場合しか機能しないのです。
これさえ言えば相手を納得させられるような魔法の言葉などありません。どんな失態でも必ず許してもらえる魔法の謝罪もありません。何より自分自身が被害を受けた側だと考えてみて下さい。
銘店の和菓子を買いに行く暇があったら、まずは被害状況や事故(迷惑発生)原因を調べ、悪意なのか、偶然か、再発の可能性を止められたのかなど、トラブルの本質を解明して伝えること、こうした意味ある情報を伝えることが「土産」なのであれば、私は賛同します。
丸刈りも、土下座も、手土産も、美辞麗句のお詫びも、謝罪成功の特効薬ではありません。しっかり状況を把握し、謝罪ストラテジーを組み、粛々と事態収拾を図ることこそ、真の誠意だと言えるでしょう。