海岸沿いを歩いていると、心配そうに犬が顔を出しました。

 歩道に近いところで日向ぼっこ(甲羅干し?)している子猫がいました。声をかけると、ロケットのように飛び出して、少し離れた場所で止まりました。

 お母さんは三毛猫だそうです。いっしょに生まれた4匹のうち、派手な三毛と赤トラと純白の3匹はすぐにもらい手が決まりました。でも地味な灰色でどこか元気がないこの子猫には、もらい手が見つかりませんでした。

「この子は、きっとこの家にいたいんだわ」と、自分のうちで飼うことを決め、名前もつけました。目の前に広がる海のように穏やかな平和が続きますようにと願いを込めて。

「そうしたら見る見るうちにツヤツヤなブルーが濃くなって、健康に育っているから不思議だわ」と、飼い主の女性はうれしそうに話してくれました。

 呼ばれたと思ったのか、子猫がふり向きました。名前はプラボブラゴ。「青い宝物」という意味だそうです。