森精機製作所は4月、欧州最大手の工作機械メーカー・ギルデマイスター社(DMG)の株式を追加取得し、持ち株比率を13.6%から20.1%へ引き上げた。これによりDMGは森精機の持分法適用会社になった。
両社が株式を5%ずつ持ち合うことなどを決めた2009年3月の資本・業務提携から丸2年。出資拡大はグローバルな販売提携が実を結びつつあるとの判断に加え、今後の提携拡大に向けて関係強化をねらったものだ。
両社の売上高合計は約3000億円。世界シェアは10%程度に上り、世界の工作機械業界の中でトップグループだ。両社は「対等な関係」(森精機)を維持しながら、新興国中心に世界戦略を加速する考え。
しかし、業界内では「両社とも独立性の強い企業。提携によるシナジー(相乗効果)は未知数だ」(中部の工作機械メーカー首脳)との声も少なくない。
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両社の提携のねらいのひとつは、グローバルな販売連携体制の構築だ。森精機が日本、米国で高い信頼を得る一方、DMGは欧州などで圧倒的なプレゼンスをもつ。中国、インド、アフリカなど新興市場に対して、共同で販売・サービス体制を構築することで、スピーディーかつ効率的に世界市場をカバーすることをねらっている。森精機からみれば、提携をてこにライバルの日系メーカーを大きく引き離したい、という思惑もある。
両社は2009年3月の資本・業務提携後、世界各国に共同販売・サービス会社を矢継ぎ早に立ち上げているほか、中国の瀋陽机床との間で3社合弁の中国工場を立ち上げる検討にも入った。森雅彦・森精機社長は「今後は生産、開発面で協業の効果が表れてくる」と、提携の進展に自信を見せている。