JR東海が計画を進めるリニア中央新幹線が、東京―名古屋間の2027年の開業をめざし、動き出した。45年の名古屋―大阪間開業まで、当面の終着駅は名古屋。この18年間のアドバンテージ(優位性)をいかに地域の活性化につなげていくか、関係者らの思惑はさまざまだ。

 名古屋駅周辺ではすでに、「リニア景気」を織り込むかたちで新ビルの建設計画などが進んでいる。名駅前地区の「引力」が強まり、栄地区から名駅前地区へ、名古屋の中心地シフトの流れが加速しつつある。

 中間駅の設置が予定されている岐阜県中津川市周辺でも、観光振興の期待が膨らむ。今年9月上旬には、岐阜県が県内全域を対象とした「リニア中央新幹線活用戦略研究会」を設立。リニアを活用した地域づくりの検討を本格化させた。

 一方で、ストロー現象を懸念する声も。中津川市を含む東濃6市の経済団体が中心となり、中間駅の建設促進に取り組む「リニア中央新幹線岐阜東濃駅設置促進協議会」の牛込進会長は、「中津川から可児市までの東濃6市が合併して、態勢を整えるべき。首都機能の一部移転も進めていく。これくらいしないと意味がない」と、意気込む。リニアで、東海地域はどう変わるのか―─。16年後の姿を占う。

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 地元不動産会社幹部は「東京へのアクセス向上で、名古屋駅周辺のオフィスやマンションの需要は間違いなく増えるだろう」と見ている。需要増を織り込み、名古屋駅周辺では、早くも「ミニ・リニアバブル」が発生している。

 大名古屋ビルヂング、名古屋ターミナルビル、名古屋クロスコートタワー、第二豊田ビル・・・。名駅前一等地では、向こう5年で、10階建て以上の高層ビルが相次いでしゅん工する。名古屋鉄道も、名駅前に保有する本社ビルを含む約2万6千平方メートル一帯の大掛かりな再開発を検討中。建て替えは、「リニア開業までがひとつの目安」(山本亜土社長)だ。