松坂屋・名古屋駅店(以下、駅店)が閉店し、8月29日で丸1年が経過した。
名古屋駅地区で年間約100億円を売り上げていた同店の閉店は、他の百貨店や他の店舗の売り上げに少なからず影響をおよぼしている。閉鎖に伴う消費者の動向を見て、新しい戦略を打ち出す動きも顕著だ。
この1年を振りかえるとともに、今後の勢力図の行方を追った。
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「松坂屋・駅店の恩恵を一番受けたのは高島屋さんでは」─―。名古屋駅地区のライバル・栄地区でしばしばささやかれるのは、この1年の市内百貨店の勢力図の変化だ。
名古屋駅前に開業してから10年が経過したジェイアール名古屋タカシマヤ(JR高島屋)。松坂屋・駅店閉店後、2010年9月以降の売上高を見ると、震災後の3月を除けば、月次売上高はすべて前年を超えた。2010年暦年でも年間売上高(速報ベース)は前年比4.1%増の988億円と、市内百貨店で唯一の増収を確保した。
2011年1~7月の累計売上高(速報)も593億円と前年を25億円上回るペース。2011年3月には、単月で初めて栄にある松坂屋の本店の名古屋店を上回った。