©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会
長崎が舞台の良作が続いている。
7月は長崎出身の松田正隆による戯曲を映画化したオダギリジョー主演の映画『夏の砂の上』があり、9月には長崎生まれのノーベル賞作家、カズオ・イシグロが25歳の時に書いた長編小説デビュー作を映画化した『遠い山なみの光』が控える。
原案は日本赤十字社の看護師らによる手記
そして8月は映画『長崎―閃光の影で―』が公開間近。1945年、原爆投下直後の長崎で、人々の命を救おうと奔走する若き看護学生たちの物語。
『遠い山なみの光』の舞台は1952年の長崎なので、『長崎―閃光の影で―』から見ると、心身の傷も癒えぬままの人々がいかに真っ黒焦げに消滅した街を必死で復興させたのかが窺い知れて、感慨深い。
『長崎―閃光の影で―』は原爆被爆者の救護にあたった日本赤十字社の看護師たちが被爆から35年後にまとめた手記「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」が原案。少女たちの視点で見た原爆の悲劇を正面から描いている。
1945年、看護学校に通う17歳の田中スミ、大野アツ子、岩永ミサヲの3人は空襲による休校で、大阪から長崎に帰郷する。三菱に勤める恋人がいるスミ。父と暮らすクリスチャンのミサヲ。休みにもかかわらず、日本赤十字社長崎支部に通うことにした勉強熱心なアツ子。それぞれが戦時下にあっても、希望を忘れずにいた。
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悲劇が待ち受けるとは知る由もなく、故郷で束の間の休息を過ごす少女たち。8月9日午前11時2分。スミはバスで祖母の元へ向かう途中、強烈な閃光を目撃する。勤務中だったアツ子は足を負傷しながら、婦長の指示に従う。ミサヲは父と出かけた浦上天主堂が破壊され、瓦礫の下から父親を救出する。
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