東大から救済へ:ポイントは「AI活用」
さて、こんな具合で、教材もカリキュラムも、人事レベルから問題山積ですが、私たち大学側は評論家でもなければ傍観者でもないので、救済サイトないし、全国小学校の「外国語活動」「外国語科」で「困っている先生・生徒・保護者」が情報を交換し、解決策を共有していくネットワーク・コミュニティーを、東大をはじめ教官有志、各地の先生方、企業のサポートも得てネット上に展開することを決定しました。
2学期を待たずして、ネットは公開されると思いますので、また追ってご紹介したいと思っています。
考え方の根本は「AI」活用にあります。
もう一度、先ほどの文科省教材のサイトを見ていただくと、大半の教材が平成29年、つまり2017年に作成されており、すでに8年前のものだと分かるはずです。
「英語を学ぶのに、基本教材が5年や10年で変わるのか・・・?」
はい、抜本的な変化がありました。
今ご覧にいれた小学3、4年生の「外国語活動」の必修が制度としてスタートしたのは2020年4月・・・。
2020年4月って、どういう時期だったでしょう?
3月13日に「新型コロナウイルス対策特別措置法」が成立、4月7日には「緊急事態宣言」が発令されたゴタゴタの中で、3年前「十分早い時期から準備されていた」教材類でスタートして、そのまま動いているわけです。
しかし言語回り、特に国際多言語環境については2022年に革命的な変化がありました。
生成AIの爆発的普及です。
人工音声による自動翻訳音声はごく当たり前のものになり、ユーチューブで音声動画を視聴すれば、外国企業が作成したと思しいオカシイ日本語音声で、水虫や薄毛治療の怪しげな広告が莫大な量が垂れ流されるようになった。
それが2024~25年以降、児童生徒達を取り巻くネットワーク国際言語環境の現実にほかなりません。
2017年「生成AI以前」に出来上がっていた教材で、これらに対処していくのは、土台無理というものです。
また、先ほど見たような、見るからに人工的で不自然な課題・・・小学校の先生たちに英語は教えられない、だから漢字を書かせ、その画数を数えて、ワンツースリーと数える程度ならできるだろう・・・といった不思議な課題・・・の枠組みを超え、2030年代、2040年代、国内外の「多言語環境」社会で活躍できる人材の育成・・・とまではいかなくても、少なくとも「全国小学校での先生たちの悲鳴」は一掃する必要はあり、そのような「働き方改革」に、即戦力で役立つソリューションを、大学チームとして準備できたら、と思っています。
2011年、震災直後に復興支援で誕生したキャラクター「東北ずん子」 は2021年8月からAI音声「ずんだもん」としてネットワーク上で盛んにしゃべり始めました。
少し先行する「AquesTalk」による「ゆっくり霊夢」「ゆっくり魔理沙」などの声も含め、合成音声を耳にしない日がない、AIが当たり前の日本で、未来に使いこなせる「英語」「外国語」の基礎を子供たちが身に着けられる環境が、本来は必須不可欠になっています。