富山市内(Pixabayからの画像)
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 報道によれば、今年1月から6月にかけて、富山市内のアパート1棟の中の多くの部屋を「店舗」として借用、「メンズエステ」と称する男性客に性的なサービスを提供する風俗店を許可を得ずに営業、風俗営業法違反の疑いで関係者が富山地検に起訴されました。

 起訴されたのは「富山メンズエステKOMOREBI」の代表、宮崎稔之被告(39)と、経営に関わっていた会社員の河野竜三被告(38)。

 この2人は、まあそういうことなのでしょう。ここで問題になるのは、もう一人、ホームページの管理などを担当していたとして、現役の国立大学法人准教授の名が報じられていることです。

 国立大学法人富山大学学術研究部教育研究推進系准教授、滝谷弘被告(49)です。

 捜査関係者によれば「滝谷准教授」は今回の容疑を認めており、また富山大学は「情報収集中で、現時点ではコメントできることはない」「事実確認をしたうえで、職員の処分は規則にのっとり適正な対応」という絵に描いたような官僚答弁が報じられていました。

 さらに6月2日付で「風営法違反富大准教授詐欺、恐喝疑い 再逮捕」 の報道。

 ここまで来ると富山大学も斎藤滋学長の「誠に遺憾。事実確認が取れ次第、厳正な処分を行う」とのコメントを発表したようです。

 さて、富山大学のホームページで確認してみると「総合情報基盤センター」所属の准教授として、滝谷弘なる氏名と「中央大学 2002年3月」の記載が確認できます。

 実は、たったこれだけの断片的な情報からでも、どうして今回こんなことが起きたのか、一定の背景を解説できます。

 例えば、「49歳」「2002年3月」の表記は重要な情報で、2025年6月時点で49歳ということは1974~75年生まれ。

 いわゆる「就職氷河期世代」(1970~82年頃に生まれ1993~2005年にかけて就職活動した世代)のど真ん中に当たります。

 1996~97年頃に大学学部を卒業して大学院進学、2002年に27歳位で大学院修了とあります。

 これは「博士」取得だと思いますが、どうしたわけかこの名前ではそれらしい学位が検索に引っ掛からず、よく分からないのです。

 そこで学術データベースをよく見てみると「別表記」として、「奥村弘」という別名が記されていました。

 そこで「奥村弘 富山大学」で検索してみると・・・。

「財布を盗み、入っていたクレジットカードを使って車に給油したとして、富山西署は25日、窃盗と詐欺の疑いで、富山大総合情報基盤センター准教授、奥村弘容疑者(40)=富山市婦中町=を逮捕した」など、別名で様々な犯罪の容疑をかけられていた情報が出て来ました。

 2016年6月25日に40歳、同姓同名で同じ勤務先が記されているので、おそらく同一人物でしょう。

 同時に、ネット上では「どうして富山大学は、こんな人間をクビにせず、大学の教壇に立たせ続けたのか?」といったリアクションが目に入りました。

 まずそこから腑分けしていきましょう。どうして2016年、「クレジットカード泥棒教員」は解雇されなかったのか?