駄々っ子か、はたまたクレーマーか

 現場となった県立考古博物館は、玄関付近の地下に遺跡があり、車両の通行は禁止されている。当日のロジ(出張の段取り)でも公用車は駐車場に停め、歩行者通路を歩くことになっていた。

 ところが、斎藤の乗った車は駐車場ではなく歩行者通路へ向かい、車止めの前で止まった。慌てて出迎えた県民局長らを斎藤は「なんでこんなところに車止めを置いたままなのか」と怒鳴りつけ、外させた。会議が終わると、玄関前に横付けした公用車に乗り込み、帰って行った。

 斎藤は百条委での証言と同様、「通行止めとは知らされておらず、ロジが不適切だと考えて指導したのだから適切だった。注意・指導の範囲内だった」と調査に語っているが、第三者委はこれを否定。〈注意・指導が必要かは、事情を聞いて初めて判断しうるものである。(略)叱責する前に事情を聞きさえすれば、前提事実について認識を誤ることはなかった〉と指摘している。

 話を聞かない例は他にもある。AIによる男女マッチングシステムの知事協議で「内容を知らない」と一蹴し、説明しようとする職員に「なぜ今聞かないといけないのか」と説明に入らせなかった。

 介護支援センターの開設計画では、「なんで勝手に作っているのか」「資料に入っていたら知事が全部知っていると思わないように」と職員に言い、協議を打ち切った。両事業とも、斎藤県政下で予算化されていた。

「暴君」や「独裁者」というより、ほとんど駄々っ子やクレーマーである。報告書は〈わからないことは、担当者に聞けばよく、事情を聞かずに説明を受けることを拒否するのは適切でない〉と、ごく当たり前のことを噛んで含めるように書いている。

 そして、3つ目は「他者承認を求める」パターンである。わかりやすいのが、県のポスターや配布物に自分の写真やメッセージを入れさせることだ。