ホンダの「変節」

 それにしても解せないのは、ホンダの変節ぶりだ。

 1998年「世紀の合併」と言われたダイムラー・クライスラーの誕生を皮切りに、マツダがフォードの傘下に入り、日産はルノーの傘下に入った。巨大連合が次々誕生し「400万台(年産)クラブ」ともてはやされた。

「200万台のホンダはどうする」

 そう言われた時の心境を、当時社長だった吉野浩行氏はこう語っている。

「二人三脚より、独りで走った方が早いに決まってる」

吉野浩行・ホンダ元社長(写真:共同通信社)
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 規模に走らず我が道をいく。それがホンダの流儀だった。EVで畑違いのソニーと組んだのもホンダらしい。ホンダは2024年4月〜6月期に過去最高となる4847億円の営業利益を叩き出している。EVと自動運転で出遅れた感があるとはいえ、日産ほどには追い込まれていない。

 ホンダなら独力で生き残るのではないか――。

 筆者は密かにそう期待していた。

 いたずらに規模を追うのは、あまりにもホンダらしくない。